先輩から後輩へ励ましの言葉|看護科

令和元年8月29日(木)、看護科3年生の戴帽式が行われ、専攻科生から励ましの言葉が贈られました。

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『平成』から『令和』へと元号が変わり、新たな時代が始まりました。昭和44年に本校で初めての戴帽式が行われてから50年、これまで2千人を超える生徒が、ナイチンゲールの看護の心を受け継いできました。『昭和』から『平成』、『令和』へと時代が流れても、心をひとつにナイチンゲール誓詞を響かせる戴帽生の姿は、ずっと変わらないでいてほしいと願います。

本日、戴帽式を迎えられた3年生の皆さん、おめでとうございます。

皆さんは、夏休み返上で戴帽式や実習の準備を進めてきましたね。酷暑の中、集中力が切れてしまったり、自分だけが辛いと思い込んでしまったりして、学年全体がまとまらず、投げ出したくなったこともあったのではないでしょうか。

私たちも、式の数日前まで、それぞれが「自分は頑張っているから」と団結する大切さを自覚できず、みんなの心がつながりませんでした。しかし、「自分たちの戴帽式は自分たちで創ろう」と励まし合い、力を合わせて練習を重ねたことで、学年が一丸となり、夢に向かって一歩を踏み出すことができました。

夏休みの校舎に響いていた、皆さんのナイチンゲール誓詞や合唱を聞きながら、数年前の自分たちの姿を思い出しました。

さて皆さんは、もうすぐ初めてひとりの患者様を受け持つ基礎実習が始まります。私たちは基礎実習の時、無我夢中で正解や方法ばかりを求めてしまっていたと思います。そのため、日課になっている援助をこなすだけ、患者様の訴えに相槌をうつだけになってしまい、患者様の思いに寄り添いながら、援助の意図を考えた看護ができていませんでした。そのうえ、自分が傷つくのが怖くて、指導者の方や先生に相談することもできず、自分の弱さを見せたくないため、悩みごとを一人で抱え込んでいました。

そんな日々を過ごし、何の成長もないことを薄々感じていたある日、何気なく、担当の先生に実習の一場面を話しました。すると先生は、観察の視点や患者様の捉え方など、一人では考えられなかったことをたくさん教えてくださり、看護のヒントをたくさん得ることができました。できないところを指摘されることが指導だと思い込んでいた私には、相談するという行動が大きな壁だったのですが、この出来事をきっかけに、自分の持っている情報や考えは素直に伝えようと思うことができるようになりました。振り返ると、先生は私からの発信を忍耐強く待っていてくださったのだと思います。

今でも、失敗を恐れ行動できない時や、自分と向き合うことを恐れ、逃げ出しそうになることがありますが、患者様がかけてくださる言葉が次の行動を後押ししてくれます。今まで見逃していた患者様の小さな変化を、大切な変化としてとらえられたとき、看護の充実感と喜びを感じられるようになってきました。

3年生の皆さん、私たち専攻科生もはじめはうまくいかないことばかりでした。これから先、看護の道を歩んでいく中で、困難を感じてしまう場面や出来事がたくさんあると思います。そういう時は、一人で抱え込まず、言葉で伝えてみてください。周りの方がかけてくださるアドバイスを受け入れる努力をしてみてください。患者様の本当に困っていることや心に秘めている思いを引き出すことにつながっていくと思います。

最後になりましたが、新しい時代の看護を担う私たち看護科生徒一人ひとりが、夢を実現できるよう、学年をこえて、心を寄せ合い、共に歩んでいくことを約束し、励ましの言葉といたします。